「生涯現役社会」の実現のための道筋をより確かなものとするために必要となる制度・施策の方向性を検討していた厚生労働省の「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」(座長・清家篤慶応義塾長)が報告書をまとめた。報告書は、当面求められる施策の方向性として、ハローワークによる65歳以上の再就職支援の機能強化を図ることが必要としている。また、65歳到達日以降に雇用される者を適用対象外としている現在の雇用保険制度について、適用年齢を検討する必要があると指摘している。
 我が国の人口は今後減少が見込まれ、また、団塊の世代が65歳に達する中で、65歳以降の就業者数は増加している。総務省統計局の「労働力調査」の結果によると、高年齢者の人口に占める就業者の比率は近年上昇傾向にあり、2003年から2012年の10年間は19%台で推移していたが、2013年は20.1%となっている。

 「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)では、「誰もが生涯現役で活躍できる社会を構築するため、65歳を過ぎても働ける企業の普及促進を行うとともに、高齢者が身近な地域や人材を必要としている他の地域での就労、ボランティアなどの社会参加活動への参加を積極的にしやすい環境を整備する」とされている。

 検討会は、企業における就労をメインに、生涯現役社会の実現を推進していくための制度・施策について今年2月から検討を行い、報告書をまとめた(平成27年6月5日付)。

 報告書では、①企業における高年齢者の雇用の促進、②職業生活設計と能力開発の支援、③中高年齢者の再就職の支援、④地域における多様な雇用・就業機会の確保、⑤シルバー人材センターの機能強化──の5つの項目について当面求められる施策の方向性を指摘している。
 
 その主な内容をみると、まず、企業における高年齢者の雇用の促進について、65歳までの継続雇用を希望しながらも継続雇用されなかった者の雇用機会の確保のあり方について検討する必要があるとしている。

 また、65歳以降の継続雇用や雇入れ等に取り組む企業に対する支援策の充実が必要であり、あわせて65歳以上の高年齢者の雇い入れの拡大について、ハローワークにおける就職支援の充実が必要とした。

 職業生活設計と能力開発の支援に関しては、男女ともに、キャリアの中断が生じにくいようにする取組みや、中断してしまった人の再就職を支援する取組みを含めて、労働者のキャリア全体を考えてその持続的な形成を図ることを支援する取組みが求められるとしている。

 さらに、労働者が65歳以降も可能な限り長く活躍するために、労働者が自発的に職業設計、能力開発を行い、その成果が適正に評価されるよう、労働者本人や企業に対する支援策の充実が必要と指摘した。

 再就職支援については、労働者が自ら判断して自発的に他の仕事に就くというキャリアチェンジを選択した場合に、それに対する適切な支援策を用意するという視点から考えていく必要があるとしたうえで、ハローワークによる65歳以上の再就職支援の機能強化を図ることが必要としている。

 また、雇用保険制度において現在は65歳に達した日以降に雇用される者は適用対象外となっている点について、現在の雇用保険の適用年齢が適当であるかどうか等を検討する必要があると指摘した。

 このほか、地域における多様な雇用・就業機会の確保に関して、地方自治体を中心とした地域のネットワーク(協議体の設置等)の下で、地域の課題に対応した多様な形態による雇用・就業機会を掘り起こして企業退職者等に提供する仕組みを全国に展開していくことが必要とした。また、シルバー人材センターについて、高年齢者の就業ニーズの変化・多様化に対応し、労働者派遣事業や職業紹介事業による就業機会・職域開拓の促進や、介護・保育分野等における職域拡大が必要としている。

 同省は、報告書の方向性を踏まえ、今後、生涯現役社会の実現に向けた具体的な取組みを検討することとしている。